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山口慎一さん「県産食材ヤギをフランス料理で世界に」

毎週火曜日にお届けしています“Finer”

 

志を持って頑張っている方、

誰かをFine!にしようと活動している方

いわゆる「Finer(ファイナー)」を

自分史インタビュアーの私・松田礼那がご紹介しています。

 

今回のFinerは那覇市安里にあります「bistro Le Bon Gout」オーナーシェフ・山口慎一さんです。

 

 

 

 

 

松田礼那)山口さんがオーナーシェフを務められているお店について教えて下さい。

 

山口慎一さん)「bistro Le Bon Gout(ビストロ ル・ボン・グー)」と言います。

フランス語で直訳すると「美味しい」ですが「正しい味・正しい味覚」という意味も込めて、この名前にしました。

 

 

 

松田)「正しい味・正しい味覚」ですか?

 

山口慎一さん)はい!最近は、効率を重視して、添加物の多い料理も増えて来ています。

 

けれど、私自身、以前忙しくて添加物の多い料理ばかり食べていた時、体調を崩してしまいました。

その休んでいた1週間、無添加の食を食べ続けた時、驚くほど身体が軽くなるのを感じました。

「やはり体は食べた物で作られている」と再確認して、お客様にお出しするお料理も「無添加」にこだわるようになりました。

 

また、私の師匠は「現代の名工」にも選ばれた海老原ムッシュです。

彼は、まだ「地産地消」という言葉が知られていない頃から、県内各地を回って、県産食材を積極的に取り入れていました。

その時、師匠から「自分たち料理人が、沖縄の食材を使い続ける事が、沖縄の生産者の方々を応援することに繋がる」と言われました。

その師匠の思いも受け継いで「地産地消」にこだわっています。

 

さらに、師匠は「体に優しいフランス料理」というのを提唱していましたが、

私はさらに掘り下げて「この家畜は、安心安全な飼料を食べて育った家畜か」と言った「安心安全」にこだわりたいと思っています。

 

こういった「無添加」「地産地消」「安心安全」にこだわったフランス料理・イタリア料理をお出しして、お客様に「余計なものが入っていない、本当の美味しさ」を体感してもらいたいと思っています。

 

 

松田)私、先日お店に伺ったんですが、看板や窓には、ヤギの絵が描かれていますよね!?

 

山口さん)はい!ヤギの専門店ではないんですが、「地産地消の食材」の1つとしてヤギを看板にのせています。

 

松田)実は私、先日山口さんのお店で食べたヤギ料理が「ヤギ初挑戦」でした!

 

山口さん)4品頼まれていましたよね?どうでした?

 

松田)はい!「ヤギのイタリア風煮凝り」「ヤギのカルパッチョ」「放牧ヤギの低温真空調理」「ピンザ(ヤギ)ピザ」の4品を頂きました。

 

正直、初めに頂いた「ヤギのイタリア風煮凝り」はヤギの香りがして「あぁ、私ヤギ肉苦手かも・・」と思いました。

 

ただ、それ以外の3品は全く匂いもしなくて、とっても美味しくてビックリしました!

 

写真:ヤギのコッパ・ロマーナ(イタリア風煮凝り)

 

 

山口さん)実は「ヤギのイタリア風煮凝り」は、ヤギ好きのお客様から「山口さんのお店のヤギ料理はどれも、ヤギの匂いがしない!」と怒られて、あえて匂いがするよう作った1品です(笑)

 

松田)「あえて匂いがするように」・・ですか?

 

山口さん)はい!ヤギ肉は部位によって、匂いの強さに差があります。

中でも、においが強いのは「油」です。

この油を、丁寧に取り除くことで、においは格段に抑えることが出来ます。

 

私は、30年以上フレンチの料理人として、ラム肉などの下処理の仕方を叩き込まれて来たので、ヤギ肉の油をとる作業も、私にとっては「普通の事」でした。

 

一方、その油をあえて加えて、においを出しているのが、うちの「ヤギのイタリア風煮凝り」です。

 

写真ヤギのカルパッチョ

 

 

松田)油を丁寧に綺麗に取り除くことで、あんなに匂いが気にならないヤギ肉になるんですね!

 

山口さん)はい!あとは、そもそも仕入れるヤギが「内臓脂肪の少ない、生産者さんがこだわりを持って育てられたヤギ」だからです。

 

通常のヤギは、出荷前に太らせようとするからか、さばこうとすると、内臓にも沢山脂肪がついていることが少なくありません。その内臓脂肪は臭う事が多いです。

 

一方、うちで取り扱っているヤギは、生産者さんが与える草にもこだわって育てていらっしゃるので、内臓脂肪がほぼついていません

 

松田)仕入れられるヤギからこだわっていらっしゃるんですね!

 

山口さん)そうですね、有難いことに、生産者さんの方から「うちのヤギを使って下さい」と言って下さる事が多いです。

 

うちのお店に来られた生産者さんは、皆さん「丹精込めて育てたヤギをこんなお料理にしてくれるなんて、嬉しい!」と言って下さいます。

 

そういったお声を聞くと、より一層、ヤギをつかった美味しいフランス料理・イタリア料理という形で、ヤギ肉がこれまでとは違うステージで活躍できる場を作れたらと思います

 

写真:放牧ヤギの低温真空調理

 

松田)「ヤギ肉を使ったフランス料理・イタリア料理」というフレーズを、私、山口さんの所で初めて聞きました!

 

山口さん)はい、恐らく「世界で初めて」ではないか・・と思っています。

 

というのも、これまで、沖縄でヤギ肉というと「ヤギ刺し用」か「ヤギ汁用」しかありませんでした。

「ヤギ刺し用」は皮がついていることが多いですし、「ヤギ汁用」はそれ以外の部位が全てぶつ切りして混ぜられているので、これらをフレンチに利用する事は難しかったんです。

 

そんな中、7年前に、沖縄県の方から「乳用ヤギと肉用ヤギを掛け合わせた新しいヤギ肉が出来たから、それを使って、新しいメニューを開発してもらえませんか?」という依頼を受けました。

 

その時にやっと「ヤギ刺し用」「ヤギ汁用」以外の、ヤギ肉の仕入れが出来るようになって、フレンチ・イタリアンにヤギ肉を使えるようになりました。

 

写真:ピンザピザ(ヤギピザ)

 

松田)世界的に見ても、ヤギ肉を使ったフランス料理・イタリア料理は珍しいんですか?

 

山口さん)はい!ヤギ肉を食べている国も多いのですが「ヤギ=乳」というイメージの方が強いんです。なので、子供を産んだ母ヤギが重宝されて、その母ヤギの乳を飲んでしまう子ヤギから先に食べられます。

さらに、ラム肉などの方が上等で、ヤギ肉は家で食べるもの・・というイメージも強く、ヤギ肉は扱いが低いんです。

 

一方、沖縄はヤギを食べるために、大切に大切に育てて、大きくなってから頂きますよね?

この「大きくなるまで、ヤギを育ててから食べる」という事自体が、実は沖縄独特の文化なんです。

 

松田)「ヤギ汁・ヤギ刺し」という形にこだわらなくても「大きくなるまで育てたヤギを料理する」という事だけで「沖縄の食文化」として世界に発信していける可能性があるんですね!?

 

山口さん)そうなんです。もちろん、ヤギ汁・ヤギ刺しにもファンは沢山いらっしゃいます!

ただ「これまでヤギが苦手だった」という方にも、ヤギを食べてもらうためには・・

また世界の方に、沖縄のヤギを食べて頂くためには「ヤギ肉を使ったフランス料理・イタリア料理」という選択肢があっても良いと思っています。

 

これまで「ヤギ=血圧を上げる」というイメージもありましたが、

琉球大学の砂川教授の論文で

「ヤギ汁はゼラチン質が豊富で、味がのりにくく、塩を沢山入れてしまう。」「この塩の多さが、血圧を上げる原因で、ヤギ肉自体に血圧を上げる成分は含まれていない。」という事が分かりました。

 

むしろ、ヤギ肉には、Lカルニチンという脂肪燃焼を助けてくれる成分が、食肉の中で一番入っていると言われています。

ヤギ肉を食べて健康になりましょう!

 

そして、ヤギ肉を初め、沖縄の食材を使い続ける事で、沖縄の生産者さんを応援し、沖縄の経済も活性化させていけたら・・というのが、私の夢です。

 

 

 

<山口さんのお店「bistro Le Bon Gout(ビストロ ル・ボン・グー)>

 

「ヤギ大好き」という方と、「これまではヤギが苦手だった」という方が、一緒に食事が出来ると大好評です。

 

また、ヤギ以外にも様々な地産地消・安心安全・無添加のフランス料理・イタリア料理があります。

 

ワインにもこだわっていらっしゃって、様々なオーガニックワイン・減農薬ワインがあります。

 

山口さんは「泡盛マイスター」でもいらっしゃって、3種類の泡盛をブレンドし、シークワーサー果汁も加えた「泡盛スパークリング」など、様々な泡盛も楽しめます。

 

 

場所:那覇市安里379-15

営業時間:18時~24時(ラストーダー23時)

定休日:毎週火曜日、また今月(9月)は、4日・25日もお休みです。

電話番号:098-963-9088