2ヶ月前、近所の顔なじみの野良猫がケガをして現れ、保護して治療と去勢手術を受けさせた。
この野良猫は血液検査ができる時期になるまで、にゃぶろうとは別の部屋で隔離して世話して
いる。実はこの世話が大変で、部屋に入るだけで唸り、近づくと鋭い爪でパンチ。常に逃亡の
機会を探っている状態。にゃぶろうと性格が違いすぎて世話してきた経験が役に立たず、同じ
経験をした人の知恵を借りて世話した結果、昨日、急になでさせてくれるようになった。
商売の華々しい成功事例を知ったとき、真似してみたいが、前提条件が違いすぎて真似できな
いと諦めた経験はないだろうか。そこで、今回私が野良猫のお世話で知恵を借りたように、同
じような厳しい状況の中で成果を上げた人の経験や行動を参考にする考え方を、「ポジティブ・
デビアンス」という。今日はこの考え方と実践方法についてお伝えしたい。
ポジティブ・デビアンスは、訳すと「いい意味で枠からはみ出ていること」。
この考え方が広まるきっかけになったのは、
NGOが貧困国で推進した子どもの栄養状態の改善プログラム。
半年で予算を使わずに結果を出すことを求められた責任者が見出した解決策が「この国の貧困
家庭の中で、例外的に栄養状態が良い子どもを調査すること」だった。調査の結果、栄養状態
が良い貧困家庭には、特徴があった。1田んぼで採った小エビやカニを食べていた 2食事回
数を細かく分け、栄養吸収率が高かった 3食事前の手洗いの習慣があった。
これらの行動を普及させた結果、貧困層の栄養状態は大きな費用と労力をかけずに
短期に改善していった。
ポジティブ・デビアンスでは、参考にする調査対象の選び方が肝となる。
例えば、会社全体の営業成績が上がらない時、社内の営業トップの行動を真似させるのではなく、
経験年数が浅い営業担当者の中で、突出した成果を上げている人に注目し成功につながった行動
を分析していく。同じように厳しい環境で結果を出した人の行動は同じ環境の人にも真似しやすい
のです。
今日の猫からの学びは「ヒントは身近なところにあり」でした。