県外の友人から「普段出かけているところに連れて行って」と言われ、
「本当にいいんだね？」と念を押して連れて行っても、ほとんどの場合
明らかに不満そうな顔をされることが多い。普段自分の地元で食べ
ているものと変わらないと。だから「本当にいいんだね？」と念を押し
たのに。
きっと、そーめんたしやーが出てきたり、ごーやーちゃんぷるーが
出てきたりソーキ汁や煮つけなんかが出てくると思っていたの
だろうが、それは我々にとって外で食べるものではなく、基本的に
家で食べるものなのである。
だからといって観光客相手のお店に連れて行くのもなんだか違う気
がする。さて、どこに連れて行ったらいいのだろう？と悩んでいた
ところに出会ったのがこの店である。
「元祖ふーちばーじゅーしーの店 琉球料理ふみや」
ふうどライターの嘉手川学さんがかつてこういうことを言っていた。
「おいしいお店は、店の前の出汁の香りでわかる」と。そう、このお
店はすでに美味しい香りをそこらじゅうに振りまいていた。
絶対美味しいお店確定のにおいである。
お店に入るとそこは昔ながらの沖縄の玄関のようで、
大きな座敷にあがるように畳間の店内に入る。
お祝いの席に呼ばれたような感覚になる。
＊足りなかったらいつでも言ってくださいね。という心遣いが嬉しい。
席に着くと伝票があり、それに注文の品を書いて店員に渡す。
今回は定食の「３」の1500円を頼む。
いなむどぅちと中味汁を選べるのも嬉しい。
今回は悩みに悩んで中味を注文。
お～出てきた！！
まず目に入るのはふーちばーじゅーしーと中味汁。
にがなの白和えミミガーのピーナツ和え、煮つけ、そして
すぬい（もずく）にピーナツ豆腐、でんがく。
なんとも豪華なラインナップ。
正直見た目の華やかさはない。地味かもしれない。
しかしこれだけ手の込んだ品数の多い沖縄料理が
1500円で食べられるなんて幸せこの上ない。
ふーちばーのほのかな香りと苦みは絶品。
澄んだ中味汁の味わいは濃すぎず程よい塩味で、
後追いでやってくるショウガの風味がとても上品である。
でんがくも甘すぎず、だまにならず、ゆっくり時間をかけて
味わいたい懐かしい味だった。
しかも食後には優しいデザートが。
こういう風に食後に果物を出してくれる店、嬉しい。
暖かい家庭的な優しさを感じる。
ふと、周りの客を見る。
先客はOLさんの昼食と近所に住んでいるであろう
大先輩のお姉さん方の井戸端会議。義理人情と
礼儀を熱く語り議論していた。こうやって、近所の人が
ふらりと食事をし、元気になって帰っていく雰囲気がいい。
今度県外から友人が来て「地元の人が行くところ連れて行ってよ」
と言われたらここに連れてこよう。
那覇の街中でお店のすぐそばに駐車場があるのも嬉しいし
夜遅くまであいているのもいい。泡盛も飲みながらなんてのも
美味しいだろうなぁ。
琉球料理 ふみや 本店
電話：098-868-3309
住所：沖縄県那覇市前島3-17-9
営業時間：１１：３０～２２：００
