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北谷「あろいなたべた」

その日は朝から雨だった

今年の沖縄はいつもの年より季節の移ろいが早いようで
かりゆしウェアでは少し肌寒い。

その日はハロウィーン。
当日よりも、その前が盛り上がるのが日本人の悲しい性。
先週末の一騒ぎですでにハロウィーンは何処へやら。
テレビのCMやショーウィンドウは
クリスマス商戦に片足を突っ込んでいる。

いやいや、まだクリスマスソングは耳にしたくない。
だってまだ10月なのだから。(31日だけど)そんな心の叫びに従い、
気がつけば車は北谷町へ。
一番身近でハロウィーンを味わえるのでは?
というのは我ながら浅はかな考えか…

ところが、というか予想通りというか
時間はまだ午前11時。
そんなものが味わえるはずもなく、
相変わらずの己の鉄砲玉具合に
「なんだかなぁ」と阿藤快ばりに突っ込む。

と、同時に、ある欲求が我が身を襲う。
そう、空腹だ。

考えたら今日は朝5時から起きて、
ほとんど何も食べていない。
せっかく北谷に来たのだし、
ここで食事を済まそう・・・が、
お店はどこも空いていない。

とはいえ、コンビニでおにぎりというのも味気ない。
いまさら、ファストフードでという気分にはなれない。

アメリカンビレッジで今からご飯は無理か…
と諦めかけたその時、
タイ料理の大きな文字が目に入る。



タイ料理、私にとっては未知の領域である。
フードは全品720円というのもなんだか魅力的だ。

席に案内されると、そこはまるで朝のタイのようだ。
(タイになんて行ったことないけど)
最近は耳にすることが少なくなった
スズメの鳴き声を聴きながら
目の前ではタイ風の粥をすする老夫婦。
まるでタイに来たようではないか!
(タイに行ったことなんかないけど。)

とはいえ、そんな雰囲気に微笑みながら
(←ここはタイへのリスペクトして)
メニューを見る。


セットメニューには、料理の名前だけでなく、
食材と味付けの説明があって
私のようなタイ未経験者にもわかりやすい。

しかし、小心者の私にとって、いきなり本国の
バリバリメニューはハードルが高い。
何事も最初の印象が大事。まずは安全牌でいこう…

となると、焼きそばかチャーハンか。。。

タイと言えば「米」だ。よし、今日は米を食おう。
そしてタイと言えば「エビ」だ。
ということで、タイ・チャーハン(エビ)を頼む。

タイと言えば「米」という刷り込みは、
何も教科書的な知識ではない。

30代以降の世代にしか記憶はないと思うが、
この日本で一般にタイ米が流通していたことがある。

時は平成5年。記録的な冷夏でコメ不足となり
「平成の米騒動」なんて呼ばれた。

当時1000万トンの需要に対し収穫量が800万トン以下
という深刻な状況。そんな日本の聞き的な食事情を救うべく
輸入・販売されたのがタイ米やカリフォルニア米だった。

「パサパサしたタイ米を美味しく食べる方法」
なんて料理コーナーが流行る一方、
電気屋さんが闇米を売ってニュースになったり、
日本米とタイ米を混ぜずに個別でパッケージングして
販売された商品の「タイ米」だけを捨てる消費者続出!
なんてことが社会問題になった。

これも去りゆく平成の歴史の1ページか…
なんて考えていたら…タイチャーハンが運ばれて来た。



そうそう。タイ米って細長かった。
チャーハンとして美しいくらいのパラパラ感。
チャーハン、大正解。

まずは一口頬張る。

うん。見た目を裏切らない、高得点のパラパラ具合。
味付けは、懐かしい大衆食堂の素朴な焼き飯というところか。
そのままでも十分うまい。

メニューを見ると、レモンやライムをしぼり、
お好みでナンプラーをかけて食べるのがオススメと。

チャーハンの頂上に鎮座するプリプリの海老と
その周辺にレモン汁をふりかける。
うん。素朴な焼き飯がさっぱりとしたチャーハンに生まれ変わる。

ナンプラーはどうだ。
唐辛子が入ったナンプラーをかけると、
魚醤独特の風味やコクと辛さがやってくる。
さっぱりとした焼き飯に、しっかりとした味わいと風味が漂う。
しかも辛さが後を追ってくるのだ。うーん、これはうまい。
汗が噴き出す。暑い夏の日に汗をかきながら食べるこいつは最高だろうなぁ。

おっといけない、チャーハンに気を取られて、スープを忘れていた。
ほほぉ・・卵スープ。。。
うん。唐辛子の辛さを卵はマイルドに包んでくれる。
この相性は抜群だ。

気がつくと、ボリューミーなチャーハンは卵スープとともに胃袋へ。

タイへのショートトリップもそこでジ・エンド。

会計は税込で777円。なんだか嬉しくなる数字だな。
ふと、どこか旅に出たくなった時
きっと思い出すお店だなぁ・・・うん。満足。満足。