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橋田壽賀子の仕事術

最近私の毎朝の楽しみは日本経済新聞の名物連載「私の履歴書」を読むこと。
政治家や文化人、官僚、財界人がこれまでの自分の人生を振り返り
1か月コラムを書いているのだが、今月の担当が脚本家の橋田壽賀子さん。
特に18日、19日先週末の連載は、私たちの仕事のヒントにもつながると思うので紹介する。

 

 

橋田寿賀子といえば「渡る世間は鬼ばかり」とか「おしん」といった「名作」ドラマを

数多く産み出しているが、橋田作品は「セリフが長」く、橋田のオリジナルが多い。

そのきっかけは1968年から1年間放送された、NHKの連続テレビ小説「あしたこそ」

に起源があるとのこと。製作費の都合で、編集の箇所を少なくしてほしいという

オーダーにこたえるため、カメラの切り替えを少なくしてセリフで説明するしか

なかったため名物の「長台詞」が生まれたのだとか。

 

ただ、この作品、原作があって、ドラマの出来が良ければ「原作が素晴らしい」

悪ければ「脚本が悪い」と言われ、それは面白くないと、

橋田さんはオリジナルにこだわるようになったそうだ。



それ以降、自分のやり方に合わなければ、躊躇なく辞める。が、仕事の哲学となる。
「時間ですよ」というTBSのドラマでは演出家の久世光彦さんがアドリブで、

ドラマと関係ないコントを入れるから、そこの部分の台本を開けていてくれ!

と強く求められたことに反発して降板。橋田さんは久世さんが死ぬまで口

をきくことはなかった。そして、山口百恵さんと三浦友和さんの初共演で

話題になった「赤い疑惑」。こちらも当時超多忙だった山口百恵さんのセリフを

短くしてほしいという要望には応えられないと降板。

人気があっても自分の脚本が納得できるものにならなければ、容赦なくやめた。

 

その一方、視聴者の共感を得る要素として

(1)身近なテーマ(2)展開に富んだストーリー(3)リアルな問題点

という3つの要素を守っているとも書いている。「渡る世間は鬼ばかり」

を見ていると頷ける話だ。

 

多くの人の共感を得る要素をしっかりと踏まえつつ、

自分の仕事のスタイルを確立し、そのやり方に合わなければ、躊躇なく辞める。

そういう姿勢が確立できるよう頑張りたい。そして残り10日近い連載を楽しみにしたい。