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あいあいファーム・加力謙一さん「島大豆復活で昔ながらの島豆腐・味噌・醤油を」

毎週火曜日にお届けしています“Finer”

 

志を持って頑張っている方、

誰かにfine!を届けようと活動している方、

いわゆる「ファイナー」をご紹介しています。今回のFinerは・・

 

島大豆の復活を目指しています、あいあいファームの加力謙一さんです。

 

 

 

 

加力謙一さん)松田さんは、島豆腐の原料の大豆はどこ産の大豆が使われているか知っていますか?

 

松田礼那)え?沖縄産の大豆だと思っていたんですが・・違うんですか!?

 

加力さん)はい。戦前は国内・県内の大豆で島豆腐・味噌・醤油が作られていましたが、

戦後・1955年頃にアメリカの大豆が入って来て、今はアメリカの大豆で島豆腐は作られています。

 

松田)知りませんでした。アメリカの大豆の方が良かったんでしょうか??

 

加力さん)アメリカの大豆は、安くて、味も良くて、安定して手に入ります。

今、私たち県民がいつでも、どこでも、安く島豆腐が食べられるのはアメリカの大豆のおかげ・・とも言えると思います。

 

ただ、観光客の方々に「これが琉球料理です!」とお出しするのに、私は何となく後ろめたい・・。「原材料どこ産?」と聞かれた時に「アメリカ産です。」と答えなければいけないんですから。それで本当に沖縄の観光のプラスになるのだろうか・・と思いました。

もしも、自分がイタリアに行ってパスタを食べて、そのパスタの小麦がアメリカ産だと知ったら、やはりガッカリすると思うんです。

この状態では、沖縄の子どもたちに、自分たちの食文化を伝える時にも、自慢できないような気がしました。

 

ただ、もちろん安く美味しい島豆腐が食べられるのは、アメリカ産の大豆のおかげです!

なので、今のアメリカ産大豆の島豆腐も残しつつ、島大豆を使った島豆腐・味噌・醤油の復活も図る・・・そういったバランスを大切にしたいです。

 

 

 

  

 

 

松田)「島大豆の復活」と言いますと、一時期、島大豆は全く収穫できなくなった・・という事でしょうか?

 

加力さん)はい。一度ゼロになりました。

というのも、戦前、島大豆は「各家庭で育てられるもの」でした。

2月中旬に種まきをして、5月頃に収穫をして、臼で大豆をひき、子供たちが海に海水を取りに行って「我が家の島豆腐」を作る・・・味噌・醤油も自分の家で作っていました。

しかし戦後、スーパーで豆腐・味噌・醤油を購入するのが当たり前になり、島大豆は育てられなくなっていきました。

 

松田)そのゼロから復活させるのは、とても大変だったんじゃないですか!?

 

加力さん)はい。今もまだ「種を増やしている段階」です。

沖縄県農業研究センターに「種のバンク」がありまして、そこから3~4粒だけ、種を譲って頂いて、今一生懸命増やしています。

 

松田)3・4粒からのスタートだったんですか!?すごいですね!!

 

加力さん)ありがとうございます。でも、そういった努力をしないと復活させることは出来ません。

 

さらに種を増やした後・・種を植えて、種を育てるのにもデータが必要です!

先ほどもお伝えした通り、島大豆の栽培は、各家庭でやってきた事で、親から子へ、子から孫へと口頭で、大豆の育て方も伝えられてきました。

なので「どれぐらいの肥料を、どういった割合で与えれば良いか」「防虫には何が有効か」「畝の高さはどれぐらいが良いのか」・・こういった情報も、一切残っていませんでした。

なので、琉球大学の教授や学生さんと試行錯誤しながら研究し、やっと最近「重機を入れて大規模に栽培する方法」も確立してきました!

 

これからも島大豆の種を増やしつつ・・・興味のある方には種をお渡しして一緒に栽培にしつつ・・・10年後ぐらいにはある程度の規模で島大豆の栽培が出来るよう頑張りたいと思います!

 

 

 

松田)島大豆は、品種自体、県外の大豆とは違うんですか?

 

加力さん)はい!県外には出ていない、沖縄ならではの「高アンダー」「青ヒグ」と言った品種です。

というのも、一度は県外の「フクユタカ」という品種を、沖縄で育てようとしたんですが、夏に栽培する「フクユタカ」は、沖縄では台風にやられてしまい、育てる事が出来ませんでした。

 

一方、沖縄に昔根付いていた「高アンダー」「青ヒグ」品種は、2月中旬に種まきをして、5月中旬には収穫できる品種でした。これなら台風でやられる事もありません。やはり沖縄の気候にあった品種だからこそ、長く県民に愛されていたのだと思います。

 

 

 

 

松田)味も違うんですか?

 

加力さん)はい!たんぱく質が多く、島大豆で作った島豆腐は甘味が強いのが特徴です。

沖縄の食文化にあった濃い目の味になります。

 

松田)島大豆で作られた、本来の味の濃い島豆腐、是非食べてみたいです!!

 

加力さん)ありがとうございます。今年5月にはまた収穫をし、限定10名ほどの島大豆の手作り豆腐体験をやりたいと思っています。

 

そしてその際、おじいちゃん・おばあちゃんに島豆腐を食べてもらって「昔の味になっているか!?」をチェックして頂きたいんです。

 

島大豆が原料の島豆腐・味噌・醤油の復活は「今」しなければなりません。

なぜなら「昔の味」を知っているおじぃ・おばぁの舌が、復活の大切なキーになるからです。

 

そのためにも、あと3年ぐらいは「種を増やす事」に集中しつつ

10年後ぐらいには、島大豆をテーマにしたお店で、島大豆で作った島豆腐・味噌・醤油を提供できるようになりたいです。

 

特に醤油は、今県内にメーカーそのものがなく、他県から持っていた醤油を詰め直している状態です。是非島大豆を使った醤油も復活させたいと思います。

 

島大豆はどう頑張ってもアメリカや本州より敷地面積が狭いので、価格は高くなってしまいます。だからこそ、それよりも美味しい島豆腐・味噌・醤油を目指して頑張りたいと思います!