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第97回 猫に学ぶビジネス哲学

にゃぶろうと猫の親子の動画を見ていると、子猫が母猫が顔を洗っている仕草を真似ていた。
猫は狩りをした後、身体に獲物のにおいを残さないために手入れを念入りにやるのだそう。
猫は用心深い動物だが、手入れも生き残るための知恵。にゃぶろうも母猫から学んだのかも。

 

 

 

ところで人類学などの研究者は、人類は、他の人の行動を注意深く真似ることで様々な状況
に対処してきたと考えているのだそう。今日は真似る力について考えたい。
チンパンジーと人間の幼児の動きを比較した実験がある。実験者が箱を開封しお菓子を取出
す手順を示し両者に取組んでもらった。実験者は開封の手順にわざと無駄な手順を加えて両
者に示した。実験では、その手順が無駄な手順だとわかるように透明な箱を使用したところ、
チンパンジーは無駄な手順を省略したが、人間は教えられた手順通りに開封した。チンパン
ジーのほうが合理的な行動をとったことになる。しかし、研究者によると、人間の「過剰に
真似る」特性こそが、様々な困難に対処する力となり、人類の繁栄に結びついたのだという。
参考になるのが、芸事の世界で修行の過程を表す「守破離」という言葉。「守」は、ただひ
たすら素直に真似る、師匠の教えを守る段階。「破」は、師匠の教えを極めた上で他も研究
すること。そこで、自分にとってより良い型をつくって既存の型を破る。「離」は、自身の
研究の集大成として、独自の境地から一つの流儀を編みだす。完全に型から離れること。地
球上でおそらく類を見ない繁栄を果たした人類はこのプロセスを経験から身につけた。
日本語に「身につける」という言葉があるが、まずは身体で覚えて、理屈は後からというプ
ロセスは、猫も人間もたどってきたプロセス。頭で考えてばかりで行動に結びついていない
なと感じたときこそ、まずは真似から。このことを思い出したい。